医療用手袋は、安全性と作業効率を高めるために、使用状況やサイズ感など様々なことを考慮して適切なものを選ぶ必要があります。
本記事では、手袋の正しい選び方や正しい使い方などについて解説します。また、手袋の素材ごとの違いや用途についてもお伝えするので、手袋選びの参考にしてください。
著者紹介
歯科医院・病院用衛生用品を1つから購入できる通販サイト「HAPPY HANDS(ハッピーハンズ)」です。歯科医院などで使用される使い捨て手袋やマスク、その他の衛生用品をさまざま販売しています。
今回は、医療用手袋の正しい選び方を解説します。素材ごとの違いや用途についても知れるので、ぜひ最後までご覧ください。
医療用手袋とは?役割について解説
医療用手袋は、医療従事者と患者を感染から守るために使用される個人用防護具(PPE)です。手袋は血液や体液などの感染性物質から手指を保護し、微生物の伝播を防ぐ役割を果たします。
特に、以下のようなケースでは使用が推奨されています。
- 血液や体液に触れる可能性がある場合
- 便や尿失禁のある患者のケアを行う場合
- 汚染された器具や環境表面に触れる場合
- 接触感染のリスクがある患者のケア時
手袋の適切な使用は、院内感染の防止や衛生管理において重要であり、医療従事者にとって不可欠なものとなっています。
医療用手袋の種類
医療用手袋は、作業内容や使用目的に応じて、最適な手袋を選ぶことが重要です。ここでは、医療用手袋の種類について詳しく紹介します。
粉つきの手袋
医療用手袋には、「粉つき」と「粉なし」の2種類があります。粉つき手袋には、一般的にトウモロコシから作られたコーンスターチが使用されています。この粉は、手袋の着脱をスムーズにするだけでなく、汗を抑えて手袋の使用感を良くする効果もあり、手袋の内側にも施されています。
コーンスターチが肌を刺激し、乾燥や痒み、アレルギー症状を引き起こす可能性がある点には注意が必要です。また、粉に病原体や微生物が付着していた場合、手袋の着脱時に粉が空気中に飛散し、空気感染のリスクがあることもデメリットとされています。
このような観点からも厚生労働省は「パウダーが付いていない医療用手袋への供給切替えを促します」と2016年12月に発表いたしました。(1)
粉なしの手袋
粉なしの医療用手袋は、空気感染リスクやアレルギー反応を軽減する特徴があります。粉が飛散しないことから病原体の拡散を抑えられ、コーンスターチによるアレルギーの心配もありません。
また、手指や医療器具に粉が残らず、手術や精密作業にも適しています。近年は製造技術が向上し、粉なしでも滑りにくく装着がしやすい工夫もされています。
滅菌している手袋
滅菌している医療用手袋は、感染リスクが特に高い外科手術や出産、侵襲的処置、化学療法剤の取り扱いなどで使用されます。
滅菌手袋には、患者と医療従事者の間に細菌やウイルスの侵入を防ぐ「バリア」の役割があります。滅菌手袋は、通常ラテックス製が多いですが、ビニール製やネオプレン製の手袋もあり、使用シーンや個人のアレルギーに応じて選ばれます。
耐久性は高いものの、長時間の使用は手袋の性能低下や感染リスクの増加につながるため、感染症予防のために約45分ごとに新しい手袋に交換することが推奨されています。
非滅菌の手袋
非滅菌の手袋は、採血や医療器具の洗浄、輸液の処置、骨盤や膣の検査、汚れたリネンや廃棄物の取り扱いなど、手術以外の様々な場面で使われています。
非滅菌の手袋には、ラテックス、ニトリル、ビニール製などがあります。
塩素化処理が施された手袋
粉なし手袋によっては、粉なしでも手袋の着脱をしやすくするために、塩素化処理が施されているものがあります。
手袋を塩素水に浸すと手袋の粘着性が減少するため、着脱がしやすくなるのです。
医療用手袋の素材
医療用手袋には、さまざまな素材が使われており、素材ごとに特徴や用途が異なります。ここでは、代表的な医療用手袋の素材とその特性について紹介します。
ニトリル
ニトリル(合成ゴム・人工ゴム)は、油や薬品、洗剤に対して高い耐性を持ち、非常に丈夫で長時間の作業にも適しています。
手にぴったりとフィットし、素手感覚での作業が可能なため、細かい操作を必要とする場面に最適です。手術や検査の現場でも広く使用されており、ラテックスアレルギーの心配がありません。
ラテックス
ラテックス(天然ゴム)は、油や薬品に対する防護力は低いものの、丈夫で長時間の作業に適しています。伸縮性に優れ、手指にしっかりとフィットするため、精密な作業にも向いています。
しかし、ラテックスアレルギーのリスクがあるため、使用者によっては注意が必要です。手術や検査、検診などの場面で広く使用されています。
手袋の選び方
使い捨て手袋を選ぶ際には、素材やサイズだけでなく、作業内容に適しているかも確認する必要があります。ここでは、使い捨て手袋の選び方について詳しく見ていきましょう。
手袋の素材で選ぶ
使い捨て手袋を選ぶ際には、素材やサイズだけでなく、作業内容に適しているかも確認する必要があります。ここでは、使い捨て手袋の選び方について詳しく見ていきましょう。
ラテックス
ラテックス(天然ゴム)は、しなやかさが特徴で、低温環境でも硬くなりにくい特性を持っています。また、引き裂きに強い耐性があり、耐久性も高い素材です。
天然素材であるため、焼却処理を行ってもダイオキシンを発生しないという環境面でのメリットもあります。一方で、耐油性や耐溶性は高くありません。
ニトリル
ラテックスに対するアレルギーを持つ患者や医療従事者が増えている中で、ニトリルゴム製の手袋は安全に使用でき、アレルギー反応のリスクを避けることができます。
さらに、耐油性や薬品に対する高い耐性を持ち、強度も十分なため、信頼性の高い素材として活躍しています。
サイズで選ぶ
使い切り手袋には、SS、S、M、L、LLといったサイズがあります。自分の手のサイズが合わない手袋を選んでしまうと、作業中の動きが制限されたり、手袋が破れるリスクが高まります。
手袋のサイズを選ぶ際は、柔らかいメジャーを使って自身の「手囲い(手の周囲)」の長さを測ってください。手囲いは、親指と人差し指の間にメジャーの端を置き、親指を除く指の関節のすぐ下部分にメジャーをしっかりと巻きつけて測ります。
測った手囲いのサイズを参考に、最適な手袋を選びましょう。また、手袋には様々な長さのものがあり、手首までを覆う短いタイプや、二の腕をカバーできる長いタイプなどがあります。
液体が飛散するような状況で使う場合は長いタイプを選ぶなど、状況に応じた長さの手袋を選んでください。ハッピーハンズではすべてのグローブのサンプルを用意いたしております。お気軽にお問合せください。
作業内容に適した手袋を選ぶ
作業内容に応じて適切な手袋を選ぶことは、作業の効率と安全性を向上させるために重要です。以下は、作業内容ごとに適した手袋の素材をまとめたものです。
作業内容 |
適した手袋 |
---|---|
一般作業 |
ニトリル・ラテックス |
細かい作業 |
ニトリル・ラテックス |
低温下での作業 |
ラテックス |
長時間の作業 |
ニトリル・ラテックス |
自分が手袋を使う状況や作業内容を確認し、どの素材の手袋が最適か確認してみましょう。
エンボス加工がされているか
エンボス加工とは、手袋表面に施される凸凹処理のことです。エンボス加工が施された手袋は、物を持った時に滑りにくくなり、手袋の着脱がしやすくなります。
また、加工面には以下のようなものがあります。
- エンボスなし
- 内エンボス
- 外エンボス
- 指先エンボス
- 片エンボス
手袋の全面にエンボス加工が施された手袋は、左右兼用で使えます。
一方で、片側だけにエンボス加工が施された手袋の場合は、左右別々に使うこととなります。
手袋の着用と交換のタイミング
使い捨て手袋の着用・交換タイミングは、衛生管理を徹底する上で重要です。まず、手荒れや傷がある場合や、作業開始前には必ず手袋を着用します。
汚染リスクのある物に触れる前後や、トイレ使用後、汚染作業エリアから非汚染エリアへ移動する際、手袋が破れたときには交換が必要です。歯科医療においては、患者ごとに手袋を交換します。
正しい手袋の着脱方法
まず、正しい手袋の着用方法 は以下の通りです。
- 手を綺麗に洗って消毒する
- 手袋をパッケージから取り出し1枚目の手袋を装着する
- 手袋をしていない手で2枚目の手袋を取り出す
- 手袋を装着している方の手で皮膚に触らないように手袋の折り返し部分を掴んで装着する
手袋を取り出したり装着する際には、手袋の手首の部分以外には触れないようにしてください。
次に、手袋の正しい脱ぎ方は以下の通りです。
- 前腕の皮膚に触れないように手袋の手首部分をつまみ、手袋を裏返しながら外す
- 手袋をした手で外した手袋を持っておく
- 手袋内に、手袋をしていない手の指を滑り込ませる
- 最初に外した手袋を包み込むようにして手袋を裏返しながら外す
使った手袋は、専用容器に使用した手袋は、専用の容器にまとめて廃棄する。
種類や素材の特徴を知って作業に適した手袋を選ぼう
今回、医療用手袋の役割や種類、素材について詳しく解説しました。正しく手袋を選べるかどうかは、作業の安全性と快適さを大きく左右します。
手袋をどのような場面で使うのかを確認し、自分の手のサイズやアレルギーの有無など、総合的に判断して最適な手袋を選びましょう。
グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。
また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。