ラテックスアレルギーの原因や症状は?検査方法や対応策など詳しく解説

ラテックスアレルギーの原因や症状は?検査方法や対応策など詳しく解説

歯科用手袋として、天然ゴム製のラテックス手袋を検討している方は、ラテックスアレルギーについてしっかりと理解しておく必要があります。ラテックスアレルギーは、人によってはアナフィラキシーショックを起こし、命に関わる恐れがあります。

本記事では、ラテックスアレルギーの原因や症状、検査方法や対応策などを徹底解説します。また、ラテックスアレルギーの心配がない使い捨て手袋も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ラテックスアレルギーとは?

ラテックスアレルギーとは、天然ゴム(natural rubber latex)で作られた製品に触れることで起きる即時型のアレルギー反応のことです。

ラテックスアレルギーを発症すると、蕁麻疹・喘息発作・アナフィラキシーショックなどの症状が現れます。

接触性皮膚炎(かぶれ)との違い

ラテックス手袋を装着した際に、湿疹や痒みといった症状が現れた場合は、ラテックスによるアレルギー性皮膚炎ではなく「接触性皮膚炎」の可能性もあります。

アレルギー性皮膚炎は、アレルギー物質に繰り返し触れることで起きますが、接触性皮膚炎は化学物質や貴金属、植物などが刺激となり肌に湿疹や炎症が起きます。

アレルギー性皮膚炎は、接触性皮膚炎よりも痒みが強く、触れた部分以外の場所にも症状が現れます。

ラテックス・フルーツ症候群にも要注意

ラテック・スフルーツ症候群とは、ラテックスアレルギーを持つ人が特定の食べ物にもアレルギー反応を示す現象です。

これは、ラテックス(天然ゴム)に含まれるタンパク質と、いくつかの果物に含まれるタンパク質が似ているため、免疫系が果物をラテックスと間違えてアレルギー反応を引き起こす交差反応によるものです。

特にリスクの高い果物は、アボカド・キウイフルーツ・バナナ・クリの4つです。

ラテックスアレルギーの原因

ラテックス(latex)とは、成長したゴムの木の幹に傷をつけることで得られる白い樹液で、タンパク質が豊富に含まれています。ラテックスアレルギーの原因は、主にラテックス手袋に残留しているラテックスタンパク質(アレルゲン)です。

このアレルゲンは、手袋を装着して皮膚と接触すると、汗で水溶性タンパク質が溶け出します。パウダーつきの手袋の場合、パウダーが皮膚表層に微細な傷をつけ、アレルゲンが体内に侵入しやすくなるため注意が必要です。

また、手袋を外す際にアレルゲンを含んだパウダーが飛散し、それを吸い込むことでアレルギーを発症するケースもあります。

注意事項

内側にパウダーを付着させた手袋は、パウダーに含まれる成分が人体に有害であることがわかったため、2016年から厚生労働省はパウダーフリーを推奨するようになりました。

ハッピーハンズでは、2016年のこの発表以降、パウダーなしの手袋のみを販売しています。

また、ハッピーハンズのラテックスグローブは、ラテックスアレルギーの原因となる「プロテイン」を極力抑える仕様として【プロテイン含有量を50μg以下】という条件でグローブを製造しています。

ラテックスアレルギーになりやすい人の特徴

まず、ラテックス手袋などの天然ゴム製品を着用する機会が多い方は、ラテックスタンパク質に繰り返しさらされるため、アレルギー発症のリスクが高まります。

特に、以下の職業に従事している方は注意が必要です。

  • 医療従事者
  • 製造業従事者
  • 清掃業従事者
  • 介護業従事者

また、医療処置を何度も受けており、ラテックス手袋やラテックスを含む器具と接触する機会が多い方も、ラテックスアレルギーの発症リスクが高いとされています。

慢性的な肌荒れや、アトピー性皮膚炎で皮膚のバリア機能が低下している状態の人も、ラテックスアレルゲンが皮膚から侵入しやすいため、ラテックスアレルギーになりやすいです。

ラテックスアレルギーの症状と重症度

ラテックスアレルギーの症状には、皮膚の赤みや痒み、蕁麻疹などがあります。人によってはアナフィラキシーショックを起こし、呼吸困難や血圧低下、意識障害などの重篤な症状が現れるケースもあります。

ラテックスアレルギーの症状における重症度を以下にまとめました。

ステージ1

・接触部位だけに蕁麻疹がでる

ステージ2

・全身に蕁麻疹がでる

・血管が浮腫む

ステージ3

・全身に蕁麻疹がでる

・気道症状や消化器症状がでる

ステージ4

・アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショックは、意識消失や心停止といった命の危険に関わる症状がでることがあるので注意が必要です。

ラテックスアレルギーの検査方法

ラテックスアレルギーかどうかを検査する際は、問診・血液検査・皮膚テスト(プリックテスト/スクラッチテスト)・負荷テストの順番で進めます。

ここでは、ラテックスアレルギーの検査方法について詳しく見ていきましょう。

1.問診

問診では、どのようなラテックス製品をどのように使用・接触したのか、ラテックス製品との接触後に出現した具体的な症状などを尋ねます。症状の重篤度や持続期間を聞くことで、アレルギーの程度を評価できます。

また、患者がラテックスアレルギーのハイリスクグループに該当しないかどうかや、アレルギーの既往歴について確認します。

2.血液検査

問診でラテックスアレルギーが疑われた場合、血液検査を行います。

ラテックス特異IgE抗体は「Pharmacia CAP」と「Ala ST」という検査キットで測定でき、どちらも健康保険が適用されます。

3.皮膚テスト

皮膚テストには「プリックテスト」と「スクラッチテスト」があります。

プリックテストでは、準備したアレルゲンを皮膚に1滴垂らしてブリック針でアレルゲンを刺した後、ティッシュで拭いて15分後に判定します。

ラテックス・フルーツ症候群を確認するためには、ブリック針を果物に直接刺して、その針を皮膚に刺します。プリックテストは、15分後に皮膚に現れた膨疹の直径がどれくらいあるかを見て判定します。

プリックテストが陰性だった場合はスクラッチテストを行います。スクラッチテストでは、患者の前腕屈側にプリック針もしくは細い注射針(23G)で線状の傷をつけ、その上からアレルゲンを垂らしてティッシュで拭き取り判定します。

4.負荷テスト

問診の内容とプリックテストの結果が違った場合は負荷テストを行います。負荷テストでは、実際にラテックス手袋を着用し、即時型アレルギー反応が出るかどうかを調べます。

負荷テストの流れは、水で濡らした1本の指に天然ゴム製ラテックス手袋を、反対側の指には合成ゴムまたは人工ゴム製ラテックス手袋を15分装着し、痒み・膨疹・紅斑が出るかどうかを確認します。

これで症状が出なかった場合は、指ではなく手に手袋を15分装着し症状の出方を確かめます。

ラテックスアレルギーの治療方法

痒みや蕁麻疹といった症状が、ラテックス手袋が触れた部分にだけ現れた場合は、症状が出ている部分を流水でしっかりと洗い流し、抗ヒスタミン剤やステロイドを服用します。

蕁麻疹が全身に広がったり、喘息や胃腸症状といった全身症状が現れた場合には、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。

アナフィラキシー症状の既往歴がある人の場合は、全身アレルギー反応が出た場合は迅速に医療機関を受診してください。(1)

ラテックスアレルギーの対応策

ラテックスアレルギーが疑われる場合、もしくはラテックスアレルギーと診断された場合、日常生活のあらゆる場面で天然ゴムに触れないことを心がける必要があります。

ラテックスは医療用具や日用品などに含まれていることがあるため、製品の成分表示を確認し、ラテックスを含まない製品を選びましょう。

特に、次のような製品に注意が必要です。

  • 避妊用具(コンドーム、ダイアフラムなど)
  • ゴム風船
  • 接着剤
  • 一部の衣類や靴

職業上ラテックスに接触せざるを得ない場合は、雇用者に相談し、ラテックスフリーの手袋や道具を使用できるようにするなど、ラテックスに触れない環境で作業できるよう配慮してもらいましょう。

ラテックスアレルギーでも使える使い捨て手袋で対策

ラテックスアレルギーの方は、天然ゴム製のラテックス手袋を使うことができませんので、他の使い捨て手袋で代用する必要があります。

ここでは、歯科医療現場で働く方向けの、ラテックスアレルギーの方でも安心して使える使い捨て手袋を紹介します。

ニトリル手袋

ニトリル手袋とは、ニトリルゴムという石油系の「合成ゴム」または「人工ゴム」で作られた使い捨て手袋です。手にぴったりとフィットするので、着用しても素手と同じような感覚で細かい作業が行えます。

また、ニトリル手袋は耐薬品性に優れているため、薬を取り扱う歯科医療現場で広く採用されています。

ニトリル手袋には、手袋の内側にパウダーがついているもの、ついていないものの2種類があります。パウダーがついているものは着脱がしやすい一方で、人によっては痒みや乾燥を感じることもあります。

最近では、パウダーなしでも着脱しやすいニトリル手袋がありますので、状況に合わせて最適なものを選びましょう。ハッピーハンズでは、パウダーなしの手袋のみ販売しています。また、加硫促進剤を含んでいないグローブも販売していますので、ぜひご覧ください。

TPE手袋

TPE手袋(熱可塑性エラストマー手袋)は、ゴムとプラスチックの特性を併せ持ち、伸縮性やフィット感に優れています。ポリエチレン手袋よりもフィットしやすく、左右両用のため頻繁な交換が求められる現場で便利です。

耐油性や耐薬品性に優れており、食品加工、医療、清掃、介護など幅広い用途に使用可能です。最近では、ニトリル手袋の代用品として使われることもあります。

ラテックスアレルギーならラテックスフリーの手袋を選ぼう!

歯科用手袋をお探しの方で、ラテックスアレルギーが心配な方は、ラテックスフリーの手袋を選びましょう。ラテックスフリーの手袋にはいくつか種類がありますが、作業効率や耐久性のことを考慮すると「ニトリル手袋」がおすすめです。

ラテックスフリーのニトリル手袋なら、ラテックスアレルギーの患者さんを治療する際も安心です。ハッピーハンズでは、パウダーなしの手袋のみ販売しています。また、加硫促進剤を含んでいないグローブも販売していますので、ぜひご覧ください。

自分に最適なグローブをお探しの方は、個別にサンプル注文も出来ます。

ニトリルグローブの商品一覧はこちら

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【グローブの商品一覧】をご確認いただく方へ

グローブ商品一覧の上部にて「ラテックス」「ニトリル」など商品を絞って調べられるリンクがありますので、ぜひご活用ください。

また、サイト内ではグローブの1ページ目の写真にて素材の記載があります。写真左上に四角いアイコンで「ラテックス(紫のアイコン)」「ニトリル(グリーンのアイコン)」と表記しておりますのでご参考になさってください。